職業訓練で、AIをどう教える?
Web制作を学ぶからこそ「作る人」ではなく「直す人」になってほしい
Web系フリーランスの傍ら、職業訓練でWeb制作やグラフィックツールの使い方などを教ることもやってます。
AIの普及によって、職業訓練の現場でも「AIを使ってWeb制作を効率化したい!」という声を本当によく聞くようになりました。
Web制作の世界に飛び込んだばかりの訓練生にとって、AIはまさにこの上ないショートカットになりますからね。
チャットAIにちょっと聞くだけで、一瞬でそれっぽいものが出来上がってしまう。
正直、自分も初めて触ったときは感動しましたし、今では手放せない仕事仲間です(^_^;)
ですが、これからWeb制作を勉強する身として、勘違いしてはいけないことがあります。
AIにコードを書かせているうちは、一生「Web制作のプロ」にはなれません。
今日は、職業訓練という場所でWeb制作を教える講師として、AIとどう向き合い、どうスキルを身につけていくべきか、その「リアルな教え方」についてお話ししたいと思います。
少し厳しいことを言うかもしれませんが、遠回りをしないための本音です。
職業訓練では「作る人」ではなく「直せる人」になってもらいたい。
AIの普及によって、Webサイトを作るのは、今では「誰でもできること」になりつつあります。いや、もうなっているかもしれません。
この場(職業訓練)でなければ好きなようにAIを使ってもらって良いのですが、Webに関する仕事に携わることを目標にした場合、「作る」だけでは仕事になりません。
クライアントに納入した後に何かトラブルがあった時、「動かないコードをなぜ動かないのかを理解し、修正できる能力」が必要だからです。
これは「直せる人」に必須のスキルです。
トラブルがあった時にコードを見て、どこが悪いかを読み解いて的確に修正するのが「直せる人」。そして、その理由を言語化できることが理想です。
ここをなんとなくでも言語化できないうちは、なんとなく動いているだけのコードを書いてしまい、いざ現場でトラブルが起きたときに何もできず立ち尽くすことになるのが想像できます。(自分も最初はそんな感じでしたので…)
職業訓練で実践している「AI段階的導入法」
とはいえ、当たり前のように使えるようになったAIを使わずに、Web制作を学んでいくのは、現代では縛りゲーみたいになってしまいます。
そこで、自分のコースでは制作実習に合わせて、AIを段階的に解禁するルールを設けています。
日頃からよく使う人からすると少し不満があるかもですが、あくまでも「制作実習の作品には使っちゃダメ」というルールので、訓練外では何でも使ってくださいw
(そういっても制作実習で使う人は使うんですけどね(^_^;))
noteでも、自分が職業訓練で行っているカリキュラムを包み隠さず話していますが、「AIをどう取り入れていくか?」に絞った形だと、下記のようにしています。
1. 初回:使用禁止(まずは基礎知識を少しでも理解する)
最初はとにかくAIを使わせません。(それでも使う人はいますw)
テキストのレイアウトを流用し、テーマに合わせて文章と画像を差し替えたWebサイトを作成します。そこでHTMLとCSSの基礎、タグの意味などを再確認します。
ここで厳しい現実を伝えますが、もし今ここでAIに頼ってしまうと、いつまで経っても何かあった時のエラー解決能力が身につきません。
(AIの使い方によっては身につくかもしれませんが)
また基礎がわからないと、AIに適切な指示が出せないことはもちろん、AIが出してきたコードの確認もできません。
それは自分のコースで目指す「直せる人」を目指す上では大事なところです。
2回目:文章と画像のみ(コーディングは自分で)
この段階では、テーマに合わせてブログっぽい2カラムのWebサイトを作ります。
リサーチと文章、画像はAIを使用してOK。
ですが、コーディングはあくまで自分で行うといった感じ。
実習のデモサイトとそのデータは配布しているので、それを参考にしてもらっています(そのまま使っている人は多いですがw)
※このあたりから、自分が説明した時になんとか会話を理解してくれる人が増えてくる。
3回目:チャットAIの解禁(コーディングもOK)
ここでは「チャットAI」の利用を全面的にOKとします。
ワイヤーフレームとデザインカンプからの作成、すなわち0から自分で作成することになるため、リサーチと文章、画像に加えてコードの生成もOKとしています。
とはいえAIが普及する前は、すべて自力で作ってもらっていたのでかなりの時短&クオリティアップ…されるといいですねw
4回目:AIエージェントの活用(高度な効率化)
最後の実習では、AIエージェントの使用を許可しますが、ここで一つ罠があります。
それは「デザイン」。
AIで作ったWebサイトは、おそらく同じようなデザインのWebサイトが出てくるでしょう。そこで勉強したCSSの知識を活かして、自分らしいWebサイトに仕上げて…くれることを願っていますw
自分は必要なことを伝えて、質問があれば答え、あとは見守るだけです。
ちなみに、訓練外で個人的に使う分には「どんどん使って慣れてください!」というスタンスです。遊び倒す中でこそ、AIの得意なこと、苦手なことが見えてきますからね。
なぜ「基礎」がAI時代にこそ重要なのか?
おそらくこれからの社会は、確実にAI前提の社会に向かっています。
国を挙げてAI教育が進んでいますし、東京都でも「生成AI・デジタルクリエイター学科」のような新しい取り組みが始まっています。
…というのは置いといて、冒頭でも話した通り、職業訓練で自分のコースに来たということは、「作る人」ではなく「直せる人」になってもらうため、基礎をおろそかにすることはありません。
AIが普及する前は、皆自力で頑張っていましたし、自分も手打ちで訓練用のデモサイトを作っていました。
ですが、もう時代がAIを使うか使わないかで大きく変わってしまうようになるでしょう。
その時に、基礎知識がないままAIを使うと、AI特有の「自信満々に間違ったことを言う」現象(ハルシネーション)を見抜けず、そのまま納品して大惨事……なんてことも十分あり得ます。恐ろしいですね、怖いですね(笑)。
この基礎知識はすぐに身につけるのは難しいことですが、「AIが出した答えが正しいかどうかを判断できる力」を身につけることができれば、AIに代替されるのではなく、AIを使いこなす側の人間になれると思っています。
最後に:AIはあくまでも「相棒」ということ
職業訓練の現場で教えていて思うのは、AIを怖がらず、かといって依存しすぎず、「自分のスキルを底上げしてくれる相棒」として付き合える人が、最短でプロのクリエイターになれる可能性があると思っています。
AIは進化のスピードが速いので、カリキュラムが追いつかないこともあります。
(おかげ様で構成の考え直しを強いられました)
でも、それは逆にチャンスでもあります。
自分で最新の情報をキャッチし、試行錯誤する。そんな姿勢を持っている人は、Webクリエイターに限らず、どんな環境でも生き残っていけるはずです。
なんてことを思って日々教えているのですが、一体どこまで訓練生に伝わっているかがわからないのがツラいところですね…
Webの初学者がAIを使うことについて、
思うことがあればコメント・リスタックでお願いしますm(_ _)m
(異論は認めますw)
最後までお読みいただきありがとうございました!
また次の記事もよろしくお願いいたしますm(_ _)m





がみたかさん
こんにちは♪
自分もコードは読み書き出来ますが、ここ、勘違いしますよね。
AIって一見凄いLPを一瞬にして作ってくれますが、作りたかったものと違う時、どう直していいかわからない。
あるあるかと思います。
急がば回れじゃないけども、少なからず基礎がないとAIにも的確な指示ができないし、ましては直すことなんてできないですね。ぼくはこの考えは好きです!